厚いLアングル鋼や鋼管を切断するとき、100mmクラスのグラインダでは切込みが届かず、材料を裏返したり複数方向から切ったりする手間が増えます。HiKOKI(ハイコーキ)のG3618DAは、外径180mmの砥石に対応する36Vコードレスディスクグラインダです。高出力なマルチボルト蓄電池とブラシレスモーターを組み合わせ、電源コードを引き回しにくい鉄骨・外構・解体現場で、切断やモルタルの筋付けを進められます。
180mm機は切断能力を確保しやすい一方、全長533mm、蓄電池装着時4.8kgという大型工具です。小回りを優先する100~150mm機とは役割が異なります。さらに、ブレーキ、キックバック軽減システム、再起動防止、ソフトスタート、2アクショントリガなどの補助機能があっても、正しい砥石、ホイルガード、両手保持、保護具は欠かせません。
この記事では、G3618DAの仕様、特徴、用途、メリット、注意点、2WPZとNNの選び方、150mm機G3615DCとの違い、向いている人、FAQまで詳しく解説します。数値と希望小売価格は、2026年9月10日時点のHiKOKI公式製品情報で確認しています。
G3618DAとは?購入判断の結論
G3618DAは、180mmのレジノイド砥石、フレキシブル砥石、切断砥石、対応ダイヤモンドカッターなどを用途に応じて使う大型コードレスグラインダです。全速モードの無負荷回転数は5,300min-1、オートモードは3,200min-1。後部の2アクショントリガを握って操作する構成で、長い本体と防振形サイドハンドルを両手で保持します。
結論から言えば、180mm砥石の切込みと作業範囲をコードレスで必要とする人には有力な選択肢です。鉄骨や厚い金属部材の切断、モルタルへの深い筋付けなどでは大型砥石を生かせます。一方、バリ取り、細部の研削、片手で位置を変える軽作業が中心なら、100~150mm機の方が軽く扱いやすいでしょう。

G3618DAの主な仕様
| 項目 | G3618DA |
|---|---|
| 電源 | 36Vマルチボルト蓄電池 |
| モーター | 直流ブラシレスモーター |
| フレキシブル砥石 | 外径180×最大厚さ3.1~3.7×穴径22mm |
| レジノイド砥石 | 外径180×厚さ6×穴径22mm |
| 無負荷回転数 | オートモード3,200min-1/全速モード5,300min-1 |
| 機体寸法 | 全長533×ギヤカバー全高80mm(砥石含まず) |
| 質量 | 4.8kg(蓄電池装着時) |
| 振動3軸合成値 | 4.0m/s² |
| 使用可能蓄電池 | 残量表示付きマルチボルト蓄電池 |
| 2WPZ付属電池 | BSL36B18X×2個(36V・4.0Ah/18V・8.0Ah) |
| 充電器 | UC18YDL2(冷却機能付き) |
| 充電時間 | 約40分 |
質量4.8kgは砥石を取り付けるとさらに重くなり、作業時には回転反力も加わります。持ち上げられるかだけでなく、狙った切断線へ安定して送り続けられるかを考えてください。高所や頭上、足場上での作業では大型機の利点より負担が上回る場合があります。
G3618DAの特徴
180mm砥石と36Vで大きな材料へ対応
外径180mmの砥石は、100mmや125mm砥石より大きな切込みを取りやすく、Lアングル鋼、鋼管、鉄骨部材などを複数方向から切り直す回数を減らせます。ブラシレスモーターと高出力マルチボルト蓄電池を組み合わせ、電源確保が難しい現場でも切断や筋付けに取り掛かれます。
HiKOKI公式ページでは、50×50×厚さ5mmのLアングル鋼を、外径180×厚さ2mmの金属用切断砥石で切断した比較条件が掲載されています。比較値は特定条件での参考であり、材料の硬さ、砥石の種類、摩耗、押付け力、蓄電池状態によって時間は変わります。

モルタルの筋付けにも使える
対応する180mmダイヤモンドカッターと専用ホイルガード類を使用すれば、モルタルやコンクリートの筋付けにも活用できます。公式比較条件ではモルタルへ深さ30mmの筋付けを行っています。設備配管の溝、改修時の撤去ラインなど、大型砥石の直径を生かしたい場面に向きます。

鉱物系材料の切断では大量の粉じんが発生します。乾式・湿式の適否、集じんカバー、集じん機、呼吸用保護具を作業条件に合わせて選んでください。周囲の配線・配管・鉄筋を確認し、切断可能な深さと位置を施工図や探査で確かめてから作業します。
スイッチOFF後の停止を早めるブレーキ
トリガを離すとブレーキが作動し、惰性回転の停止時間を短縮します。大型砥石は回転エネルギーが大きいため、停止を待つ時間が短くなることは、次の位置へ移る際の作業性にもつながります。ブレーキ動作時に先端工具が脱落しにくい構造も採用されています。
ただし、ブレーキがあるから回転中に工具を置いてよいわけではありません。砥石が完全に停止するまで両手で保持し、材料や床へ触れない位置を保ちます。ホイルワッシャは指定された付属品を使用し、ナットの向きと締付け状態を作業前に確認してください。
キックバック軽減システム
モーターの急激な回転低下を監視し、砥石のかみ込みなどを検知すると瞬時にモーターを停止して反動を軽減する機能です。切断砥石が溝へ挟まれたとき、大型機では強い反力が生じるため、有用な補助機能です。
作業状況や条件によって作動しない、または性能を十分に発揮できない場合があります。材料を確実に固定し、砥石の延長線上から身体を外し、サイドハンドルを握ってください。切断溝が閉じて砥石を挟まないよう、材料の支持位置も事前に決めます。
再起動防止・ソフトスタート・過負荷保護
スイッチがONの状態で蓄電池を差しても始動しない再起動防止機能は、電池交換時の不意な動作を抑えます。ソフトスタートは始動時の反動を緩やかにし、切断線へ合わせやすくする機能です。過負荷保護は、強く押し付けすぎたときのモーターと電池への負担を軽減します。
保護機能が作動したときは、同じ力で押し続けず、工具を停止して原因を確認します。砥石の目詰まり、摩耗、材料へのかみ込み、電池温度、切断方向などを点検し、負荷を改善してから再開してください。頻繁に停止する状態は、工具能力と作業条件が合っていないサインです。
オートモードで無負荷時の回転を抑える
オートモードでは無負荷回転数を3,200min-1に抑え、必要に応じて回転を制御します。全速モードは5,300min-1です。作業内容、先端工具の許容回転数、仕上がりに応じて選択します。砥石に表示された最高使用周速度・許容回転数を必ず確認し、用途外の先端工具を取り付けないでください。
1充電当たりの作業量
HiKOKI公式の参考値では、BSL36B18を1個使用した場合、50×50×厚さ5mmのLアングル鋼を約18本切断、モルタルへ深さ30mmの筋付けを約3.2m行えます。数値は材料、先端工具、押付け力、気温、電池状態で変わるため、一日の必要量をそのまま保証するものではありません。

2WPZには4.0AhのBSL36B18Xが2個付属します。高負荷切断を続けると電池温度が上がるため、2個を交互に使い、冷却機能付き充電器へ戻す運用が現実的です。予備電池があっても、連続負荷、粉じん、砥石の摩耗を確認するために定期的な停止時間を設けてください。
G3618DAの主な用途
鉄骨・Lアングル・鋼管の切断
外構、鉄骨、設備工事で扱う厚い鋼材の切断に向きます。材料をバイスやクランプで固定し、切り落とす側の自重で溝が閉じない支持方法を取ります。砥石の側面へ無理な力を加えず、切断線に沿ってまっすぐ進めることが重要です。
溶接部の研削と表面調整
180mmレジノイド砥石やフレキシブル砥石を使い、溶接ビードの研削、鋼板の段差調整、広い面のさび落としなどに活用できます。広い接触範囲を生かしやすい一方、細部や曲面では小径機の方が操作しやすいため、仕上げ用100~125mm機との使い分けが有効です。
モルタル・コンクリートの筋付け
対応ダイヤモンドカッター、切断用ホイルガードベース、集じんアダプタなどを正しく組み合わせ、配管・配線用の筋付けや撤去範囲の切込みに使えます。粉じんが多い用途なので、集じん機接続と作業区画の養生を先に準備します。
電源のない場所での改修・解体
コードレスの最大の利点は、電源設備が整っていない新築現場、屋外、停電区画などで準備を短縮できることです。長い延長コードが切断火花の近くを通らず、移動時の引っ掛かりも減らせます。ただし、周囲の可燃物と火花の飛散方向は別途管理が必要です。
G3618DAのメリット
- 180mm砥石をコードレスで使える:大きな材料へ届きやすく、電源のない場所でも作業できます。
- 安全補助機能が多い:ブレーキ、キックバック軽減、再起動防止、ソフトスタートを搭載します。
- 両手で保持しやすい:ロングボディと防振形サイドハンドルで大型砥石の反力を受け止めます。
- オートモードを選べる:無負荷時の回転を抑えながら作業へ移れます。
- 電池を共有できる:対応するHiKOKIマルチボルト工具と蓄電池を共用できます。
- カーボンブラシ交換が不要:ブラシレスモーターにより定期的なブラシ交換作業を省けます。
特に、切断場所が広い現場や足元に延長コードを増やしたくない現場でメリットが大きくなります。車載した2WPZを持ち込めば、電源探索やコード展開を待たずに作業開始できます。大型機を必要な場所へ直接持ち込めることが、G3618DAの価値です。
購入前に知っておきたい注意点
4.8kgの大型機で取り回しは軽くない
全長533mm、蓄電池込み4.8kgのため、狭い場所や細かな研削では負担になります。購入前に、実際の作業時間、姿勢、運搬距離を想定してください。大型砥石の切込みが不要なら、150mmのG3615DCや125mm・100mm機が扱いやすい可能性があります。
2WPZでも砥石が付属しない
公式表ではG3618DA(2WPZ)は「トイシ不付」です。購入後すぐ使うには、用途へ合う180mm砥石やダイヤモンドカッターが必要です。穴径、厚さ、最高使用周速度、用途、必要なホイルガードを確認し、価格比較では先端工具と集じん部品も含めてください。
切断火花と粉じんへの対策が必要
金属切断の火花は広く飛び、可燃物、ガラス、塗装面、車両を傷める可能性があります。火花の方向に人や燃料を置かず、必要に応じて不燃シートで養生します。鉱物系材料では吸入性粉じんが発生するため、集じんと保護具を併用してください。
指定外の蓄電池・アダプタは使えない
公式ページでは、BSL3620、BSL3626、BSL3660、BSL18XX、BSL14XXシリーズ、およびAC/DCアダプタET36Aは使用できないと案内されています。手持ち電池を流用する場合は、残量表示付きマルチボルト蓄電池であることを確認してください。
保護機能は事故を完全に防がない
ブレーキやキックバック軽減システムは安全を支える補助機能です。正しいホイルガード、砥石点検、両手保持、保護メガネ、フェイスシールド、防じんマスク、聴覚保護具、安全靴を組み合わせます。砥石に欠けやひびがある場合は使用せず、交換後は人のいない方向で試運転してください。
2WPZとNNはどちらを選ぶ?
| 仕様 | 2WPZ | NN |
|---|---|---|
| 希望小売価格(税別) | 129,500円 | 50,100円 |
| 蓄電池 | BSL36B18X×2個 | 別売 |
| 急速充電器 | UC18YDL2付属 | 別売 |
| ケース | 付属 | 別売 |
| 標準工具類 | スパナ・六角棒スパナ・防振形サイドハンドル | 同左 |
| 180mm砥石 | 付属しない | 付属しない |
マルチボルト環境を初めて導入し、長時間作業に備えて電池2個が必要なら2WPZが分かりやすい選択です。BSL36B18Xは36V時4.0Ah、18V時8.0Ahで、急速充電器とケースも含まれます。砥石は別に用意してください。
NNは対応電池と充電器をすでに所有している人向けです。大型機は高負荷になりやすいため、小容量電池を1個だけ流用する前提では作業時間が不足する場合があります。対応可否に加えて、容量、予備本数、充電待ちまで考えて選びましょう。
G3618DAとG3615DCの違い
| 項目 | G3618DA | G3615DC |
|---|---|---|
| 砥石外径 | 180mm | 150mm |
| スイッチ | 2アクショントリガ | 2アクションスライド |
| 無負荷回転数 | オート3,200/全速5,300min-1 | 変速3,200~8,000/オート5,500~8,000min-1 |
| 全長×ギヤカバー高さ | 533×80mm | 376×71mm |
| 質量 | 4.8kg | 3.0kg |
| 主な強み | 大型砥石の切込み・ロングボディでの両手保持 | 取り回し・無段変速・最大出力1,500W |
| 向く作業 | 厚い鋼材、鋼管、深い筋付け | 切断と研削を幅広く行う現場作業 |
G3618DAは180mm砥石による切込みが最優先の機種です。大型材料へ届きやすい反面、G3615DCより157mm長く、約1.8kg重いため、狭所や長時間の研削では負担が増えます。トリガを握って保持するロングボディは、大型機を両手で安定させる作業に向きます。
G3615DCは150mm砥石、3.0kgの比較的新しい構成で、3,200~8,000min-1の無段変速、最大出力1,500W、回転復帰制御、ツールレスホイルガード、LEDなどを備えます。180mmの切込みが必須でなければ、軽さと回転調整の幅でG3615DCが扱いやすいでしょう。選び方は「最大径」ではなく、実際に必要な切断深さと作業姿勢が基準です。
G3618DAが向いている人
- 180mm砥石を使う鉄骨・設備・外構・解体の作業者
- 厚いLアングル鋼や鋼管をコードレスで切断したい人
- モルタルへ深い筋付けを行う人
- 電源コードを展開できない現場で大型グラインダが必要な人
- マルチボルト電池を共有し、予備電池を運用できる人
- ブレーキや再起動防止などの補助機能を重視する人
G3618DAが向いていない人
- 100~125mm砥石で足りる軽いバリ取りが中心の人
- 狭所や頭上で長時間使う人
- 回転数を細かく調整したい人
- 対応マルチボルト電池を持たず、導入費を抑えたい人
- 180mm砥石の切込みを必要としない人
DIYで薄いアングルやボルトを数本切る程度なら、小径機や高速切断機の方が扱いやすい場合があります。G3618DAは「大きいほど万能」という工具ではありません。4.8kgを安定して扱い、大径砥石を必要とする作業量がある人に適した専門性の高いモデルです。
よくある質問
G3618DAには砥石が付属しますか?
2WPZ、NNとも、公式ページ上は180mm砥石が付属しません。用途に合う砥石、ホイルガード、必要に応じて集じんアダプタを別途用意してください。寸法と許容回転数を必ず確認します。
G3618DAの重さは何kgですか?
公式仕様は蓄電池装着時4.8kgです。砥石やサイドハンドルを取り付けると実作業時の重量は増えます。高所作業では重量と反力を安全に支えられるかを確認してください。
1充電でどれくらい切断できますか?
BSL36B18を1個使った公式参考値は、50×50×厚さ5mmのLアングル鋼で約18本です。モルタルの深さ30mm筋付けは約3.2mです。材料と先端工具、押付け力、電池状態で変わります。
ET36AでAC電源運用できますか?
できません。HiKOKI公式ページではG3618DAにAC/DCアダプタET36Aは使用できないと明記されています。残量表示付きの対応マルチボルト蓄電池を使用してください。
切断砥石で研削できますか?
切断砥石の側面を使った研削は行わないでください。砥石の種類ごとに用途が決まっています。切断、研削、筋付けの各作業へ適合する先端工具とホイルガードを選びます。
キックバック軽減システムがあれば安全ですか?
反動を軽減する補助機能であり、事故を完全に防ぐものではありません。作業条件によって作動しない場合があります。材料固定、両手保持、身体位置、砥石点検、ホイルガード、保護具を優先してください。
G3615DCと迷ったらどちらを選びますか?
180mm砥石の切込みが必要ならG3618DA、150mmで足りて軽さと回転数調整を重視するならG3615DCが候補です。G3615DCは3.0kg、G3618DAは4.8kgなので、切断深さと取り回しのどちらを優先するかで決めます。
使用前に最低限確認することは?
砥石のひび・欠け・摩耗、砥石寸法と許容回転数、ホイルガード位置、ホイルナット、サイドハンドル、電池残量、周囲の可燃物、材料固定を確認します。試運転は人のいない方向で行い、異常振動や異音があれば直ちに停止してください。
まとめ
HiKOKI G3618DAは、外径180mmの砥石と36Vマルチボルト電池を組み合わせた大型コードレスディスクグラインダです。全速5,300min-1、オート3,200min-1で、ブレーキ、キックバック軽減、再起動防止、ソフトスタート、過負荷保護、2アクショントリガを備えます。
厚い鋼材や鋼管の切断、モルタルの深い筋付けで180mm砥石が必要なら、電源コードなしで現場へ持ち込める強みがあります。反対に、狭所、細かな研削、長時間の保持では4.8kgの大きさが負担になります。150mmで足りるなら、3.0kgで無段変速に対応するG3615DCも有力です。
初めて導入するなら電池2個・充電器・ケース付きの2WPZ、対応電池を十分持っているならNNが候補です。いずれも砥石は別売なので、先端工具、ホイルガード、集じん、保護具まで含めて準備してください。必要な切込みと作業姿勢を具体的に確認できる人にとって、G3618DAは大型切断をコードレス化できる頼れる一台です。


